第21回「会社員時代 – 第3期」
※第3期:清水(工場出向)時代(1996~2001)

皆さん、こんにちは。「くのいち」ことクノテツヤです。
さて、今回からは、約5年に亘る本社(東京)出向を終え、地元清水に戻ってからの僕の音楽遍歴を紹介していきたいと思います。
「戻った」とは言え、元々の所属部署に復帰出来たわけではなく、今度は親会社である地元工場の輸出設計部門に出向することとなり……僕の出向ロードはまだまだ続くのでした。
―1曲目―
この時期の僕は、ザ・イエロー・モンキーにどっぷりハマっていて、雑誌等で吉井和哉さんが影響を受けたという音楽やバンド/ミュージシャンをチェックしては聴き漁っていました。
中でも、特に影響を受けたのが「フランスのポピュラー音楽」で、一時期マイ・ブームの嵐が吹き荒れていました。そんな僕の最初のお相手はこの人でした。聴いてください。
♪ セルジュ・ゲンズブール「イニシャルB.B.」
“Initials B.B.” by Serge Gainsbourg
この曲は、1968年に発表された同名アルバム「イニシャルB.B.」に収録されている、セルジュ・ゲンズブールの代表曲のひとつです。
ぴんと張り詰めたようなピアノの響きが美しくも儚げなフレーズを奏で、セルジュ・ゲンズブールの語りを伴い、何かを押し殺すかのような危うさを秘めて静かに進んでいく曲。それが一転、湧き起こるストリングスの響きと共に、抑えきれない感情が一気に溢れ出してくるようなドラマチックな展開に、僕はイチコロでした。
以前から興味はあったけれど、なかなか足を踏み入れるキッカケがなかった「フランスの音楽」でしたが、吉井和哉さんが「ザ・イエロー・モンキー4作目のアルバム『Smile』は、ハード・フレンチ・ポップを目指した」と言っていたことを知った僕は、勝手に自分の背中を押してもらったと思い込んで、フランスのポピュラー音楽という新しい世界に、意気揚々と足を踏み入れていったのです。
―2曲目―
お次は、いまお送りした「イニシャルB.B.」で歌われている、セルジュ・ゲンズブールのかつての恋人、イニシャルである「B.B.」から愛称「べべ」と呼ばれた有名な女優さんです。聴いてください。
♪ ブリジット・バルドー「ハーレー・ダヴィッドソン」
“Harley Davidson” by Brigitte Bardot
この曲は、1967年に当時の恋人であったセルジュ・ゲンズブールが彼女のために書いた曲で、同名のアルバムに収録されています。
以前から、世界的な人気女優であるブリジット・バルドーさんの名前は知っていましたが、僕にとってはリアルタイムの人ではないし、ルックス的にも「綺麗」とか「可愛い」というより、ちょっと「怖い」感じがして、女優さんとしての興味はほとんどありませんでした。
そんなある日、CDショップの「国別:フランス」コーナーで「ブリジット・バルドー」の名前を見つけたとき、何となく「あ、これは面白そうだな」と思い、「今宵バルドーとともに(原題:Brigitte Bardot Show)」というフランスのTVショーのサウンドトラック盤を衝動買いしたのです。これが見事に大当たりで、すっかり音楽の方で、ブリジット・バルドーさんのことを気に入ってしまいました。
歌がメチャクチャ上手いというわけではないのですが、いたずら好きな小悪魔のように、聴く人を惑わせる何ともチャーミングな歌声にコロッと参ってしまったのです。
残念ながら、昨年(2025年)末、ブリジット・バルドーさんは91歳でその生涯の幕を閉じられました。
遅ればせながら、ご冥福をお祈りいたします。
―3曲目―
お次は、セルジュ・ゲンズブールといえば絶対に外すことの出来ない、彼の人生の大事なパートナーでもあった、あの有名な女優さんです。聴いてください。
♪ ジェーン・バーキン「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」
“Je T’aime… Moi Non Plus” by Jane Birkin
この曲は、1969年にリリースされた、歌手ジェーン・バーキンさんのデビュー曲です。
作詞・作曲は、後にジェーン・バーキンさんと伝説のカップルとして語り継がれることになるこの人、またもや登場のセルジュ・ゲンズブールです。しかも、デュエットによる共演までしています。
当時、この曲は、直接的過ぎる歌詞に加え、やたら艶めかしい吐息やら囁き声やら……が聞こえてくるので、あまりにも刺激的で煽情的だということで、欧州各国で放送禁止になったそうです。
しかし、そんな問題作でありながらも大ヒットを記録したこの曲は、ジェーン・バーキンさんの代表作の一つとなっています。
ところで、この曲については、セルジュ・ゲンズブールと元恋人のブリジット・バルドーによるデュエット・ヴァージョンが先に存在していたので、ジェーン・バーキンさんはこの曲を歌うことを一度断ったそうです。普通に考えれば、当たり前だと思いますが、最終的にジェーン・バーキンさんはこの歌を自分のものにすることを選んだわけで……そう考えると、やはりセルジュ・ゲンズブールという人は、普通の感覚では測りしれない、とんでもない魅力の持ち主だった、ということなのでしょう。
―4曲目―
まだまだフランスが続きます……。
ずっと前からこの曲のことはよく知っていました。とてつもなくポップでキャッチーなこの曲は、一度耳にしたら忘れることなど出来ません。聴いてください。
♪ ミッシェル・ポルナレフ「シェリーに口づけ」
“Tout, Tour Pour Ma Cherie” by Michel Polnareff
この曲は、1971年に日本でリリースされたシングル曲で、40万枚という大ヒットを記録しました。調べたところ、この曲は1969年に「可愛いシェリーのために」という邦題で、「追わないで(後に「渚の思い出」に改題)」というシングルのB面曲としてリリースされていたとのことです。
ところで、さっきも話に出たザ・イエロー・モンキー4作目のアルバム「Smile」に収録されている「マリーに口づけ」という曲があるのですが、まずタイトルからして、この「シェリーに口づけ」へのオマージュが感じられます。サビの部分では、“ボンジュール・ジャポン……”とフランス語が飛び出してくるわ、そして何と言っても、唖然とするほど超ポップで軽やかな曲調には、このミッシェル・ポルナレフやシルヴィ・ヴァルタンをはじめとするフレンチ・ポップス全般への愛情が感じられ、思わずニヤリとさせられます。
―5曲目―
僕らの世代にとって、「マジック」といえば、この曲が必ずバックに流れるものと相場は決まっていました。聴いてください。
♪ ポール・モーリア「オリーブの首飾り」
“El Bimbo” by Paul Mauriat
この曲は、1975年にシングルとして発売され、ポール・モーリア最大のヒットを記録しました。
今回調べたところ、オリジナルはフランスのディスコ・グループ「ビンボー・ジェット」による「嘆きのビンボー」という曲で、日本でも1974年にシングルが発売されています。しかも、ジャケットが黒鉄ヒロシさんのイラストという贅沢なものだったそうです。
ポール・モーリアは、フランスの作曲・編曲家、指揮者、ピアノ奏者であり、自身の楽団「ポール・モーリア・グランド・オーケストラ」を率いて、この「オリーブの首飾り」をはじめ、「恋はみずいろ」「エーゲ海の真珠」など数々のヒット曲を放ち、一世を風靡したイージー・リスニング界の巨匠です。
今でも時々、無性に聴きたくなるときがあるのですが、いまの時代、こういったイージー・リスニングと呼ばれる音楽はすっかり影を潜めてしまった感があり、とても残念です。
―6曲目―
これも、カミさん(当時の彼女)に教えてもらった曲です。ハードボイルドな雰囲気がしびれるほどカッコ良くて、「お~っ!何だこれは!?」と思わず唸ってしまいました。聴いてください。
♪ MOON CHILD (ムーンチャイルド)「ESCAPE (エスケイプ)」
“Escape” by Moonchild
この曲は、1997年に発表されたMOON CHILD 5枚目のシングルで、オリコンチャート1位という大ヒットを記録しました。
僕は、この曲で初めてMOONCHILDというバンドを知りました。
「なんてカッコいい曲なんだろう」と夢中になっていましたが、気になるのは、次に出てくるシングルもしくはアルバムのことです。僕にとって、この曲だけで終わってしまうバンドなのか、それともこのバンドのことを本当に好きと言えるようになるのか……。
そしてリリースされたのが、MOONCHILD6枚目のシングル曲「アネモネ」でした。
これが、「ESCAPE」とは真逆の、夏の陽射しが似合う、爽やかでとても素晴らしい曲でした(この「アネモネ」には特別な思い入れがあり、そのあたりの話はまた別の機会に)。
この「ESCAPE」「アネモネ」という2曲の振れ幅の大きさとそれぞれの素晴らしさに、MOONCHILDはきっと安泰だと思っていたのですが、それからわずか1年ちょっと……1999年に、MOONCHILDはあっけなく解散してしまいました。残念。
その後、2013年に再結成してライヴも行ったようですが、現在はどうなっているのでしょうか?
そういえば、しばらく前に、ササキオサムさんがソロで歌番組に出演していて、「ESCAPE」を演っている姿を目にしました。懐かしかったなぁ。
―7曲目―
90年代、僕が夢中になった日本の3大ロック・バンドがいます。
最初に出会ったのが、ブランキ―・ジェット・シティ。お次が、ザ・イエロー・モンキー。
そして、この時期にようやく出会ったラスト・ピースがこのバンドです。聴いてください。
♪ ミッシェル・ガン・エレファント「マングース」
“Mongoose” by Thee Michelle Gun Elephant
1997年に発表されたミッシェル・ガン・エレファント3作目のアルバム「チキン・ゾンビーズ」からお送りしました。
ミッシェル・ガン・エレファントとの出会いは、雑誌「ロッキング・オン・ジャパン」の新譜レビューに載っていた「チキン・ゾンビーズ」のジャケットがきっかけでした。『ブルー・チアー』のデビュー・アルバムを思わせるジャケットに興味を引かれ、「こんなカッコいいジャケットなら、きっと中身もカッコいいに違いない」と確信したのでした。
一刻も早く聴いてみたくて、会社帰り、遠回りにも関わらずTSUTAYAに寄って「チキン・ゾンビーズ」を入手。家に帰ってから早速聴いてみたのですが……いやはや、あまりにも衝撃的なギターとヴォーカルにぶっ飛びました。
暴力的な鋭さで近寄るものすべてを切り刻み、メーターを振り切ったまま爆速で突き進んでいく、そんな、それまで聴いたことのないようなアベフトシさんの鬼気迫るギター・カッティングにまず絶句。
そして、チバユウスケさんの灼けつくような凄まじい歌声には、驚きを通り越して、感動すら覚えました。どれだけがなっていても、はっきりとメロディが伝わってくる驚異の歌唱力、そして、どこで誰と歌っていようがすぐにそれと分かる唯一無二の歌声は、まさに奇跡のようでした。
僕は、こんなにも美しくて優しい「がなり声」を、他に知りません。一度、生で聴きたかった……。
―8曲目―
しばらく前にTVから流れてきたこの曲に耳を奪われて以来、ずっと気になっていたバンドです。聴いてください。
♪ シアター・ブルック「ありったけの愛」
“Arittake-no Ai” by Theatre Brook
この曲は、元々1995年に発表されたミニ・アルバム「CALM DOWN」に収録されていた曲で、僕の記憶では、たしか東京出向時代、夜中にTVでこの曲のPVを観た覚えがあるのです。その時にこの曲から受けた強烈な印象がずっと頭に残っていて、いつかちゃんと聴いてみたい、とずっと思っていたのです。
それから数年が経った2000年のこと、シアター・ブルックが「SPECIAL」というベスト・アルバムを出すというニュースが雑誌に載っていました。勝新太郎さんが演じる「座頭市」の写真が使われたジャケットにそそられたのもありますが、この機会に、長年思い続けてきたシアター・ブルックの門を叩いてみようと思い、この「SPECIAL」を買ってきたのでした。
久しぶりに聴いた「ありったけの愛」は、あの時と変わらず絶品だったのは言うまでもありませんが、他の曲も、聴くほどにじわじわと魅力が増してきて、気が付いた時には、我が家にシアター・ブルックの過去のアルバムがすべて揃っていました。また、やってしまった……。
―9曲目―
僕には、ある映画を観て以来、ずっと欲しかったサントラ盤がありました。当時、いくら探してもCDを見かけないので、手に入らないかと思っていたのですが、何と1997年にめでたくCDが発売されたのででした。もう、狂喜乱舞、感無量、感謝感激雨あられのお祭り騒ぎです。聴いてください。
♪ フランクン・フルター「スウィート・トランスヴェスタイト」(オリジナル・サウンドトラック「ロッキー・ホラー・ショーより」)
“Sweet Transvestite” by Frank N Furter (From Original Soundtrack “The Rocky Horror Picture Show”)
1977年に公開されたアメリカ映画「ロッキー・ホラー・ショー」のオリジナル・サウンドトラック盤からお送りしました。
もとはロンドンの小劇場で上演されていたリチャード・オブライエンによるロック・ミュージカルで、これを原作として映画化されたのが、今なお愛され続けている、この伝説的なカルト映画「ロッキー・ホラー・ショー」です。
残念ながら、僕は舞台を観たことはないのですが、以前、日本キャスト版の舞台において、主役の「フランク」をROLLY(ローリー寺西)さんが演じると聞いた時は、これ以上ないドンピシャの配役に、思わずのけぞりました。ちなみに、僕が持っている「ロッキー・ホラー・ショー」サントラ日本盤CDのブックレットには、解説キャストとして「フランクン・フルター/ROLLY (THE ROCKROLLY)、ナレーター/駒形四郎」とのクレジットが……最高ですね。
そういえば、古田新太さんも、舞台でフランクン・フルター役を演じていました。
偶然かどうか分かりませんが、「”古田(ふるた)”さんが”フルター”を演じる」というのも、最高にいかしています。
―10曲目―
この人は、僕が中学時代からずっと気になっていたミュージシャンです。聴いてください。
♪ ニナ・ハーゲン・バンド「アフリカン・レゲエ」
“African Reggae” by Nina Hagen Band
この曲は、1979年に発表されたニナ・ハーゲン・バンドの2作目「ウンバハーゲン」に収録されている最高にぶっ飛んだ曲で、当時、シングル・カットもされていました。
音楽に目覚めたばかりの中坊だった当時の僕は、雑誌やジャケットで目にする笑っちゃうほど過激なヴィジュアルにすっかり心を奪われていました。また、「ドイツ」出身ということや「アフリカ」「レゲエ」という言葉に、未知の世界への妄想を掻き立てられたり、大好きな江口寿史さんが「すすめ!!パイレーツ」の扉絵でニナ・ハーゲンの似顔絵を描いていたことでより一層興味をそそられたり、実際にラジオで曲を聴いてみれば、そのエキセントリックなヴォーカルに衝撃を受けたり……と、すべてが刺激的なニナ・ハーゲンという存在が気になって仕方がありませんでした。でも、当時はHR/HMのレコードを買うのに手一杯で、悲しいかな、ニナ・ハーゲンのレコードまでは手が回らなかったのです。
やがて社会人になった僕は、東京出向時代に、布袋寅泰さんの影響でニナ・ハーゲン熱に再び火がついて、アルバムを買い始めました。ところが、中学時代に買うことの出来なかった初期の作品がなかなか手に入りません。それでも1997年にニナ・ハーゲンのベスト盤CDが国内盤でもリリースされ、ようやく初期の代表曲を聴くことが出来るようになりました。
その後、輸入盤もターゲットに入れて、何とか初期のアルバムを揃えようとしているのですが、肝心の「ウンバハーゲン」が手に入りません……。よしんば手に入る状況だとしても、僕が大好きだった強烈なインパクトのジャケットが、どういうわけか文字だけのつまらないジャケットに差し替えられていて、とても残念なことになっているようです。「ウンバハーゲン」に一体何が起こったのか?
もしご存じの方がおられたら、教えていただけると有難いです。
-今回も最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう。See Ya!
* * *
ー第21回「サラリーマン時代 <第3期>」プレイリストー
| No. | 曲名 Song Title | アーティスト Artist |
|---|---|---|
| 1 | イニシャル B.B. Initials B.B. | セルジュ・ゲンズブール Serge Gainsbourg |
| 2 | ハーレー・ダヴィッドソン Harley Davidson | ブリジット・バルドー Brigitte Bardot |
| 3 | ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ Je T’aime… Moi Non Plus | ジェーン・バーキン Jane Birkin |
| 4 | シェリーに口づけ Tout, Tout Pour Ma Cherie | ミッシェル・ポルナレフ Michel Polnareff |
| 5 | オリーブの首飾り El Bimbo | ポール・モーリア Paul Mauriat |
| 6 | ESCAPE Escape | MOONCHILD Moonchild |
| 7 | マングース Mongoose | ミッシェル・ガン・エレファント Thee Michelle Gun Elephant |
| 8 | ありったけの愛 Arittake-no Ai | シアター・ブルック Theatre Brook |
| 9 | スウィート・トランスヴェスタイト ~ オリジナル・サウンドトラック「ロッキー・ホラー・ショー」 Sweet Transvestite ~ Original Soundtrack “Rocky Horror Show” | フランクン・フルター Frank N Furter |
| 10 | アフリカン・レゲエ African Reggae | ニナ・ハーゲン・バンド Nina Hagen Band |
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