第4回「夏」<特番>
皆さん、こんにちは。「くのいち」ことクノテツヤです。
今回は、前回の予告どおり、サマー・スペシャル第二弾として、タイトルに「夏/サマー/SUMMER」という言葉を含む邦楽曲という縛りで、お気に入りの10曲をセレクトしました。
今回も、10曲全部を一気にお送りします。早速いってみましょう。
-1曲目-
まずは、夏の幕開けを飾るのにピッタリなこの曲から。聴いてください。
♪ 松田聖子「夏の扉」
1981年に5枚目のシングルとして発表されたこの曲は、今でも夏の定番曲として世代を超えて愛されています。
作曲は前シングル「チェリーブラッサム」に引き続き、チューリップの財津和夫さん。ウキウキと胸が弾むイントロ、アップテンポでロック調のアレンジ、決めの「フレッシュ!フレッシュ!フレェ~ッシュ!」で、夏の気分は最高潮。文句なしに「夏」を盛り上げてくれる名曲です。
-2曲目-
続いては、ゆったりとした「夏」の曲をお送りします。聴いてください。
♪ 今井美樹「夏をかさねて」
僕が初めて買った今井美樹さんのアルバム「Bewith」<1988年発表>のオープニングを飾る曲、つまり、僕が初めて聴いた今井美樹さんの曲という意味でも、とても思い出深い1曲です。この「Bewith」というアルバムは、ジャケットも含めた全てが「夏」を感じさせてくれる、軽やかで涼やかで伸びやかな、今井美樹さんの魅力にあふれた心地良い1枚です。
ちなみに、僕が今井美樹さんを聴き始めたのは、かつて角川書店が発行していた月刊バイク雑誌「Wheelie」で、あるプロ・ライダーの方がこの「Bewith」を紹介している記事を読んだのがキッカケでした。当時、今井美樹さんのことは、ハナマルキのCMで知っていたくらいだったので、「へぇ~、歌もうたうんだ」と興味を持ち、このアルバムを買ったのですが、見事にハマりました。
-3曲目-
さてさて、お次は、夏の暑さを一気に吹き飛ばす抱腹絶倒のカバー曲です。聴いてください。
♪ 怒髪天「夏のお嬢さん」
2010年に発表したシングル「夏のキリギリス」のカップリング曲で、オリジナルは、1978年に大ヒットした榊原郁恵さんの代表曲です。
以前「カバーズ」というTV番組で、僕が中学生の当時から大好きだった「夏のお嬢さん」を、やはり僕の大好きな怒髪天がカバーしていたのですが、それを観た時の衝(笑?)撃といったらありません。
あの溌溂(はつらつ)としたキュートな曲が、増子さんの漢気(おとこぎ)あふれる濁声(だみごえ)ヴォーカルとスカ風のイカした演奏で、すっかり怒髪天の曲になっていました。
そして、何と言っても極めつけは、サビ終わりの「おじょうさん、お~じょうさん~」のところで増子さんが仁義を切る「おひかえなすって」の決めポーズ。あまりのカッコ良さに、ひっくり返りそうになりました。これは、機会があれば、ぜひ映像をチェックしていただきたいと思います。
-4曲目-
次はガラッと気分を変えて、しっとりした大人の「夏」の曲をお送りします。聴いてください。
♪ 笠井紀美子「夏の初めのイメージ」
これは、ハービー・ハンコックと共演したこともあるジャズ・シンガーの笠井紀美子さんが1977年に発表した「TOKYO SPECIAL」というアルバムに収録されている曲です。
僕がこのアルバムと出会ったのは、多分、中学生のとき。いきさつは忘れてしまいましたが、浜松に住んでいる叔父さんから、このアルバムを録音したカセット・テープ(クロム・テープに手書きのインデックスが忘れられません)をもらったのです。
でも、中学生の僕にはまだ早すぎたようで、1曲目の「バイブレイション」のカッコ良さにはしびれました(この曲の作曲者が山下達郎さんだと知ったのは、随分後のことでした)が、他の曲はピンと来ませんでした。ただ、「大人っていうのは、こういう音楽を聴くんだ……」と、憧れのような気持ちを抱きました。
時は流れて、もう40歳を過ぎた頃だったと思いますが、あるとき無性に「バイブレイション」が聴きたくなってしまったのです。しかし、カセット・テープはどこかにしまい込んで見当たらないし、「バイブレイション」1曲のためだけでも惜しくはないかと、今度は自分で「TOKYO SPECIAL」のCDを買いました。そして、久しぶりに聴いた「TOKYO SPECIAL」は……アルバム全部を丸ごと楽しむことが出来たのです。僕も少しは大人になったということでしょうか?
-5曲目-
次の曲は、色々なメディアの「夏うた」特集で必ず取り上げられる定番の名曲です。ちょっとベタ過ぎるかな?とも思いましたが、いいものはいいのです。聴いてください。
♪ サザンオールスターズ「真夏の果実」
1990年に発表したサザン28枚目のシングルです。何だかんだ言っても、やっぱり「夏」がよく似合うサザンオールスターズ。日本中の恋する人たちの心を鷲掴みにした、甘く切なくとろけるような「夏」の名バラードです。これ以上、余計なことは言わなくていいですね。それにしても、罪作りな曲です。
-6曲目-
さて、次にお届けするのは、夏の空を駆け抜けていくような開放感あふれる曲です。聴いてください。
♪ プリンセス プリンセス「世界でいちばん熱い夏<ORIGINAL VERSION>」
1989年に8枚目のシングルとして発表された曲です。
シングル「Diamonds(ダイアモンド)/M」、アルバム「Let’s Get Crazy」からプリンセス プリンセスを聴き始めた僕は、この曲が、すでに1987年に2枚目のシングルとして発表されていたことを知りませんでした。
89年発表のシングルには、カップリングとして同曲の<平成レコーディング版>が収録されていて、その力強い演奏もいいのですが、やっぱり個人的にグッと来るのはオリジナル・バージョン、決め手は何と言ってもイントロです。
オリジナル・バージョンのイントロが流れてきた瞬間、真っ青な大空を翔けぬけていく真っ白いセスナ、眼下に果てしなく広がる大地の雄大な景色、そんなイマジネーションが頭の中にパァ~ッと浮かび上がり、僕の胸をグッと掴んで離しません。
ということで、この至福の瞬間のため、今回はオリジナル・バージョンをお送りしました。
「Diamonds(ダイアモンド)/M」に続くシングルとして、自然な流れを感じたこの曲が、実は2年前に発表されていた曲だったと知り、既に初期の頃からこれほど魅力的な曲を生み出していたプリンセス プリンセスの凄さを感じました。
さらに、この後に発表した「LOVERS」というアルバムには、大ブレイクを果たした直後にも関わらず、アルバムの世界観を守るために、大ヒットしたシングルを1曲も入れなかったのです。その潔さに、ロック・バンドとしての心意気を感じました。
-7曲目-
お次は……「夏」といえばこの人をおいて他にいないでしょう。聴いてください。
♪ 真島昌利「夏が来て僕等」
我らがザ・クロマニヨンズのマーシーが、ブルーハーツ時代の1989年に発表した初のソロ・アルバム「夏のぬけがら」からお送りしました。
そういえば、小・中学生の頃、夏の日に見上げた、突き抜けるほど真っ青でどこまでも広がる大きな空と、そそり立つ真っ白な入道雲……、そんな景色をしばらく見ていないような気がします。
あの眩しいくらい真っ青な空の色は、一体どこに行ってしまったのだろう。空がかすんでしまったのか、それとも僕の目がくすんでしまったのか……なんてことを、マーシーの曲を聴いていると、つい考えてしまいます。
-8曲目-
次の曲は、大人になった少年・少女たちのための「夏」讃歌です(あくまでも個人的な感想です)。聴いてください。
♪ 山下達郎「Cheer Up! The Summer」
2016年に発表された49作目のシングルで、現時点の最新アルバム「Softly」にも収録されています。控えめながらも、久々に夏のタツロー節を堪能できる曲です。
ここには、「RIDE ON TIME」や「LOVELAND ISLAND」のように突き抜けていく感じはありませんが、あれから四半世紀以上の時を経た、今だからこその夏の歌だと思います。それにつけても、やっぱり山下達郎さんの曲はリズムが気持ちいいですね。
-9曲目-
さて、お次は、どうしても紹介したかった曲です。今回のサマー・スペシャルは、この曲のためにあると言っても過言ではありません。聴いてください。
♪ 甲本ヒロト「真夏のストレート」
ハイロウズ解散後、まだ我らがザ・クロマニヨンズ出現前の2006年に発表した、ヒロト初、そして現時点で唯一のソロ・シングルです。
音だけ聴くと、少しとぼけた感じの、ほのぼのした曲に聴こえますが、実は、とても熱い心の歌だと思うのです。「答えはまだでも、自分が決める道をまっすぐ行けよ。」と背中を押してくれているような気がします。
ところで、我が家では毎年、夏の甲子園の時期になると、「どうしてこの曲が、夏の甲子園の入場行進曲にならないんだ!?」と、ブーブー文句を言うのが、恒例行事になっています。夏の甲子園大会は、「栄冠は君に輝く」と「真夏のストレート」、この2曲で決まりだと思うのですが……どうでしょう?
-10曲目-
アッと言う間に最後の曲となってしまいました。スカのリズムに乗って、身も心も揺らしながら、夏の夜を踊り明かしたくなる、そんないかしたロック・ナンバーです。聴いてください。
♪ The Birthday「SUMMER NIGHT -DREAD version-」
この曲は、2019年に発表されたシングル「OH BABY!」のカップリング曲ですが、今回は「WATCH YOUR BLINDSIDE 2」から、モノラルのDREADヴァージョン(「OH BABY!」のドーナツ盤 [7インチ・シングル] に収録)をお送りしました。
チバユウスケさんが、昨年の11月26日に旅立ちました。
「Chicken Zombies」で初めてミッシェル・ガン・エレファントに出会ったときから、ずっと追いかけてきたけれど、ライブでのチバユウスケさんの姿を、一度も生で観ることが出来なかったことは、悔やんでも悔やみきれません。
きっと、今頃は天国で、アベフトシさんや気の合うミュージシャン達とセッションでもして、相変わらずいかしたロックンロールを爆音で鳴らしているのでしょうね。
* * *
-ということで、最後はちょっとしんみりしてしまいましたが、今回も最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
今年の夏はどうやら長い夏になるようです。皆さん、体調管理には十分気をつけて、この容赦ない暑さに負けることなく、この夏を無事乗り切りましょう。
それでは、素敵な「夏」を!またお会いしましょう。See Ya!
ー第4回「夏」プレイリストー
No. | 曲名 Song Title | アーティスト Artist |
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1 | 夏の扉 Natsu No Tobira | 松田聖子 Seiko Matsuda |
2 | 夏をかさねて Natsu Wo Kasanete | 今井美樹 Miki Imai |
3 | 夏のお嬢さん Natsu No Ojosan | 怒髪天 Dohatsuten |
4 | 夏の初めのイメージ Natsu No Hajime No Image | 笠井紀美子 Kimiko Kasai |
5 | 真夏の果実 Manastu No Kajitsu | サザンオールスターズ Southern All Stars |
6 | 世界でいちばん熱い夏 <ORIGINAL VERSION> Sekai De Ichiban Atsui Natsu <ORIGINAL VERSION> | プリンセス プリンセス Princess Princess |
7 | 夏が来て僕等 Natsu Ga Kite Bokura | 真島昌利 Masatoshi Mashima |
8 | CHEER UP! THE SUMMER Cheer Up! The Summer | 山下達郎 Tatsuro Yamashita |
9 | 真夏のストレート Manatsu No Straight | 甲本ヒロト Hiroto Kohmoto |
10 | SUMMER NIGHT -DREAD version- Summer Night -DREAD version- | ザ・バースデイ The Birthday |
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