第23回「カウベル」


 皆さん、こんにちは。「くのいち」ことクノテツヤです。

 さて、今回は「カウベル」特集と題し、カウベルが印象的に使われている僕の大好きな曲を紹介したいと思います。
 カウベルとは、その名の通り、放牧している牛(カウ:Cow)などの居場所を見失わないよう、首に着けておく金属製の鈴鐘(ベル:Bell)のことです。また、カウベルは、ラテン音楽を中心にパーカッション楽器として使われ、「コン・コン」「カン・カン」と小気味良く響くその音色が、曲に絶妙な彩りとアクセントをつけてくれます。
 なぜか僕は、昔からカウベルの音がとても好きで、いつか自分のドラム・セットを手に入れたら、絶対にカウベルをセットに組み込もうと思っています。ドラム・セットはまだ高嶺の花ですが、カウベルは既に自前のもの(上掲の写真参照)をちゃっかり準備済みです。

 それでは、早速いってみましょう。

―1曲目―

 もし「カウベルが印象的な曲は?」と聞かれたら、真っ先に頭に浮かぶのは、間違いなくこの曲です。聴いてください。

 1973年にグランド・ファンクが発表した通算7作目の同名アルバム「アメリカン・バンド(原題:We’re An American Band)」からお送りしました。
 キーボード・プレイヤーの正式加入で4人組となった彼らは、名前もグランド・ファンク・レイルロードからグランド・ファンクに改め、新たなスタートを切りました。その第一弾となるこのアルバムでは、「音の魔術師」トッド・ラングレンをプロデュースに迎え、エネルギーの塊のようなパワフルで熱く激しい演奏はそのままに、整合感とポップな大衆性を備えた「これぞアメリカン・ハード・ロック!」といったサウンドを獲得しました。そんな新生グランド・ファンクの魅力が、この「アメリカン・バンド」という全米No.1を記録した大ヒット・シングルに凝縮されています。

 ところで、この曲はドラマーのドン・ブリューワーがヴォーカルをとっているのですが、キッスのピーター・クリス、クイーンのロジャー・テイラー、イーグルスのドン・ヘンリー、そして、このドン・ブリューワーのような「歌うドラマー」に憧れている僕は、いつか自分もドラムを叩きながら歌ってみたい……なんてことを思っています。

―2曲目―

 初めてこの曲を聴いたとき、カウベルを絡めたドラム・パターンのあまりのカッコ良さに、すっかりやられてしまいました。聴いてください。

 1974年に発表されたディープ・パープル8作目のアルバム「紫の炎(原題:Burn)」からお送りしました。
 イアン・ギラン(ヴォーカル)、ロジャー・グローヴァー(ベース)が脱退、新たなメンバーとして、デヴィッド・カヴァーデール(ヴォーカル)、グレン・ヒューズ(ベース)を迎えた新生ディープ・パープルは、ブルース好きの新メンバー2人が持ち込んだ音楽性との化学反応により、バンドの新たな魅力を引き出すことに成功しました。
 とりわけ、この曲で聴くことが出来る、カウベルを絡めたスピード感あふれるドラム・パターンは、それまでのディープ・パープルとは一味違うファンキーなノリを感じさせます。
初めて聴いたときから「このカッコいいドラムを叩けるようになりたい」と思い続けていた僕ですが、具体的なフレーズや叩き方が分からず、長いこと手を出せずにいました。そんなある時、この曲のドラム・パターンは、パラディドルという、マーチングなどに使われるドラムのルーディメンツ(基本的奏法)・パターンの応用だということを知り、早速、近所のスタジオへ行って練習を始めました。
 何とか、この曲のドラム・パターン(カウベル、スネア・ドラム、バス・ドラムのコンビネーション)を叩けるようになってきましたが、原曲のテンポには遠く及ばず、まだまだ修行が必要です。

―3曲目―

 カウベルは、僕の大好きなこのドラマーを象徴するアイテムのひとつです。聴いてください。

 1982年に発表されたモトリー・クルーのメジャー・デビュー・アルバム「華麗なる激情(原題:Too Fast For Love)」からお送りしました。
 カウベルが印象的なモトリー・クルーの曲といえば、やっぱり「ライヴ・ワイアー」か……とも思ったのですが、カウベルの印象がより強く、そして、何より僕の大好きな曲という個人的な理由から、この「カム・オン・アンド・ダンス」を選びました。
 HR/HM界において、トミー・リーと言えばカウベル、カウベルといえばトミー・リーというくらい、彼独特のセンスが光る印象的なカウベルの使い方は、定評があります。

 余談ですが、LP(ラテン・パーカッション)社のカウベルには、何とトミー・リーのシグネチャー・モデルが存在します。これも、トミー・リーの「カウベル愛(?)」がなせる業でしょうか……さすが。

―4曲目―

 この曲のカウベル・パターンはごく普通の4つ打ちですが、この音がバックで鳴り響いているお陰で、曲に何とも言えない色気が生まれています。聴いてください。

 1968年に発表された、ジミ・ヘンドリックスの生前唯一のベスト・アルバム「スマッシュ・ヒッツ」からお送りしました。
 僕がこの曲を初めて聴いたのは、貸しレコード屋さんで借りてきたこの「スマッシュ・ヒッツ」というアルバムでした。そして、他の並みいる名曲群を押しのけて、僕の記憶に最も強烈な印象を残したのが、この「ストーン・フリー」という曲でした。
 この曲が持っているノリがとにかく気持ち良くて、聴いていると勝手に体が動き出してしまいます。特にギター・ソロの後に出てくるサビの繰り返し部分の「ンッ・ジャーッ・ジャーッ・ジャーッ・ジャッ」というキメがたまりません。何度聴いても、気分は爆上がりです。

―5曲目―

 この曲の、ここぞというところで鳴り響く一発のカウベルが、強烈な印象を残します。聴いてください。

 この曲は、1960年に発表されたアメリカのアイドル歌手ブライアン・ハイランドの曲で、全米No.1の大ヒットを記録しています。
 ところで、今回あらためてこの曲を聴き直してみたとき、歌のバックでもカウベルが鳴っていたことに、今更ながら気が付きました。ここ一発で炸裂するカウベルのインパクトがあまりにも鮮烈で、それ以外の印象がみんな吹っ飛んでしまったのでしょうか……。
 この曲は、出だしの「パッ、パッ、パッ、パ~パ・ラッパッパッパッパ」というコーラス部分も有名で、TVやラジオの色々な場面でジングルとしてよく使われていたので、聴いたことのある方も多いのではないでしょうか。この人懐こくて超キャッチーなフレーズは、一度聴いたら忘れられません。
 あらためて「これは凄い曲だな」と思いました。

―6曲目―

 冒頭に写真を掲載した自前のカウベルを買うキッカケになった(……というか、買うための口実に使った)のが、この曲です。聴いてください。

 日本を代表するフュージョン・バンド カシオペアが1982年に発表した7作目のアルバム「ミント・ジャムス」からお送りしました。
 このアルバムは、とてもライヴ録音とは思えないほど音がクリアーで、演奏も完璧。しかも粒選りの楽曲揃いで、非の打ちどころがありません。また、内容もさることながら、思わず部屋に飾りたくなる印象的なジャケットのイラストも素敵で、いまでも眺めているだけで、あの頃のドキドキした気持ちを思い出します。
 この「朝焼け」という曲は、もともと1979年発表のカシオペア2作目のスタジオ・アルバム「スーパー・フライト」に収録されていた曲ですが、僕も含めて、多くの人の耳に馴染んでいるのは、この「ミント・ジャムス」ヴァージョンだと思います。

 ところで、僕がカウベルを買うことになったのは、通っていた音楽教室の発表会で、この「朝焼け」のドラムを叩くことになったのがキッカケで……と言っていますが、実は順番が逆なのです。
まず、カウベルが「欲しい」が先にあり、発表会でカウベルを使う曲を演奏することになれば、必然的にカウベルが「必要」となるので、正々堂々とカウベルを「買う」ことが出来る、と思ったわけです。そして、浅はかな僕は、自分の実力も顧みず、お気に入りの曲というだけで、無謀にもカシオペアの「朝焼け」(実際にカウベルが使われているのは、イントロ部分だけですが……)を演奏希望曲として提出したところ……何とこれが通ってしまったのです。
 いざ練習を始めてから、何でこんな難しい曲を選んでしまったのか、と後悔しましたが、もう後には引けません。いくら練習しても、なかなか思った通りに叩けず四苦八苦しているところに、先生からは「練習してないからだ!」と一方的に責められ、ムカついた僕は、売り言葉に買い言葉で、先生と一触即発のヤバい状態に……。今となっては、そんなことも含めて、忘れられない思い出の1曲です。
 結局、発表会は不甲斐なく終わりましたが、僕の手元には念願だったカウベルが残り、とりあえずの目的は果たすことが出来ました。とは言え、不本意だった演奏の方は、いつかリベンジしたいと思っています。

―7曲目―

 カウベルの響きは、クールな感じの曲にもよく似合います。聴いてください。

 1975年に発表されたアメリカのファンク・バンド ウォー7作目のアルバム「仲間よ目をさませ!(原題:Why Can’t We Be Friends?)」からお送りしました。
 タイトルの「ロー・ライダー」というのは、車高を低く改造したカスタム・カー(いわゆる「シャコタン」)、およびその車を運転する人達を指す言葉で、広くは、その発祥であるチカーノと呼ばれるメキシコ系アメリカ人の文化スタイル全般を指します。
 一度聴いたら頭にこびりついて離れない「パ・パ・パ・パ・パ・パッ・パッ、パ・パ・パッ・パッ・パッ」というキャッチーで印象的なフレーズ、クールなベースライン、低音の響きがたまらなくいかしたヴォーカル、そして軽やかに気分を揚げてくれるカウベルの響き……と、すべての要素が文句なしにカッコいい、時代も世代も超えたアンセムとして燦然と輝き続ける、極上の1曲です。

―8曲目―

 カウベルは、ラテン・パーカッションのイメージが強いのですが、HR/HMなどの荒々しく激しい曲にも見事にハマります。聴いてください。

 1976年に発表されたスコーピオンズ4作目のアルバム「狂熱の蠍団~ヴァージン・キラー(原題:Virgin Killer)」からお送りしました。
アルバムの冒頭を飾るに相応しいこの曲は、一部のスキもない純度100%のハード・ロック・ソングで、初めてアルバムを聴いたとき、いきなりスピーカーから飛び出してきたこのイントロの衝撃といったらありませんでした。ウリ・ジョン・ロート(当時のレコード表記はウルリッヒ・ロス)時代のスコーピオンズを代表する曲のひとつであり、HR/HMにおける不朽の名曲です。
 カウベルといえば、スコーピオンズのライヴではお馴染みの光景ですが、ヴォーカルのクラウス・マイネが、手に持ったカウベルを叩きまくっている姿を思い出します。

―9曲目―

 危うく、僕の大好きなこの曲を忘れるところでした……。聴いてください。

 1975年に発表されたキッス3枚目のアルバム「地獄への接吻(原題:Dressed To Kill)」からお送りしました。
 これは、キッスの前身バンドであるウィキッド・レスター時代の曲で、アルバム制作時に曲が足りなかったので、昔の曲を引っ張り出してきたらしいのですが、とてもいかした曲で、僕は大好きです。
シンプルだけどドライヴ感が抜群で、聴いていると体が自然と動き出します。バックで鳴っているカウベルのパターンが、この曲のノリをより強力にしてくれています。個人的には、ちょっとしたドラムの見せ場があるところも気に入っています。

 余談ですが、いつもカバー曲のセンスがいかしている、僕の大好きなアンスラックスというヘヴィ・メタル・バンドが、この「すべての愛を」をカバーしています。メンバーがキッス好きだということもありますが、この曲を選んだバンドのセンスに感激した僕は、ますますアンスラックスのことが好きになりました。

―10曲目―

 冒頭のカウベル・パターンが、この曲の最高にルーズでいなたい感じのノリを生み出しています。聴いてください。

 この曲は、1969年にシングルとして発表された、ストーンズを代表する曲のひとつです。オリジナル・アルバムには未収録ですが、本シングルの発売2か月後にリリースされた「スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)」をはじめ、以降、多くのベスト・アルバムに収録されています。
 もう5万回(!?)は聴いているので、さすがに聴き飽きた……なんて強がりを言ってみても、いざ曲が流れてくれば、やはりカラダは正直に反応してしまうのです。
そして、聴き終えるたびに、まるで何とかのひとつ覚えみたいに「あ~、やっぱりストーンズ最高!」とか言っている自分が、いつもそこにいるのでした。

* * *

-今回も最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう。See Ya!

ー第23回「カウベル」プレイリストー

No.曲名
Song Title
アーティスト
Artist
1アメリカン・バンド
We’re An American Band
グランド・ファンク
Grand Funk
2ユー・フール・ノー・ワン
You Fool No One
ディープ・パープル
Deep Purple
3カム・オン・アンド・ダンス
Come On And Dance
モトリー・クルー
Motley Crue
4ストーン・フリー
Stone Free
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス
Jimi Hendrix Experience
5ビキニスタイルのお嬢さん
Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka-Dot Bikini
ブライアン・ハイランド
Brian Hyland
6朝焼け
Asayake
カシオペア
Casiopea
7ロー・ライダー
Low Rider
ウォー
War
8幻の肖像
Pictured Life
スコーピオンズ
Scorpions
9すべての愛を
Love Her All I Can
キッス
Kiss
10ホンキー・トンク・ウィメン
Honky Tonk Women
ザ・ローリング・ストーンズ
The Rolling Stones

■■