第29回「会社員時代 – 第4期」
※第4期:管理職(課長)時代(2001~2014)

皆さん、こんにちは。「くのいち」ことクノテツヤです。
さて、今回は久しぶりに僕の音楽遍歴の続きをお送りしたいと思います。
サラリーマン時代の第4期は、いよいよ(……とうとう?)管理職(課長)時代に突入です。
通算10年に及ぶ出向を終えて、ようやく本来の所属部署に復帰出来たのは良かったのですが、そこには、僕の期待とはまったくかけ離れた状況が待っていました。
復帰後は「グループリーダー」を務めてもらう、と言われていた僕は、実務上の中心メンバー的な役割を想像していたのですが、蓋を開ければ、何とそれは「課長」の新しい呼び名だということが判明……いわゆる「中間管理職」です。何だか騙されたような気分でした。あくまでも実務にこだわりたい僕は、管理職には全く興味がなく、むしろ、そんなものは真っ平御免だと思っていたので、ダメ元で管理職返上を申し出たのですが、受け入れてはもらえませんでした……。
そんな風にして、図らずも管理職になってしまった僕が、色々な思いを抱えながら過ごした日々の中、よく聴いた音楽、そして、僕を救い、支えてくれた曲達を紹介します。
それでは、いってみましょう。
―1曲目―
まず、何はともあれ、このバンドの名前が気に入りました。十代の頃の不良願望がいまだに消えず、こういう言葉につい魅かれてしまうのです。聴いてください。
♪ 外道「ビュンビュン」
“Byun-Byun” by Gedo
1974年に発表された外道のデビュー・アルバム「外道」よりお送りしました。
僕がこの「外道」というバンドの存在を知ったのは、ある日、本屋さんで立ち読みした音楽雑誌の「外道」特集がキッカケでした。
そこには、70年代の日本に「外道」という伝説的なバンドがいたこと、それはブルースを基盤にしたリフ主体の3人組ハード・ロック・バンドで、暴走族のカリスマ的存在でもあった彼らは、警察やマスコミを巻き込んでの数々の伝説を残し……と、僕の興味と想像を掻き立てる、ワクワクするような話のオンパレードでした。
すっかり気分が盛り上がった僕は、早速、当時発売されたばかりの「ベスト外道」というDVD付きのベスト・アルバムを手に入れました。
1974年の日本に、こんなカッコいいロック・バンドがいたなんて……恐るべし。
―2曲目―
この時期に出会ったお気に入りの映画があるのですが、その中で、昔からずっと気になっていた曲が使われていてビックリ。予期せぬ嬉しい再会でした。聴いてください。
♪ クインシー・ジョーンズ「ソウル・ボサノヴァ」
“Soul Bossa Nova” by Quincy Jones
1962年に発表されたクインシー・ジョーンズの名盤「ソウル・ボサノヴァ(原題:Big Band Bossa Nova)」よりお送りしました。
この曲は、その昔、東京モード学園のTV-CMに使われていたのですが、その時の強烈な印象がずっと忘れられませんでした。
あれから約20年、とある映画を観た時、あの東京モード学園のCM曲がいきなり流れてきたのです。突然のことに驚くと同時に、「ああっ、こんなところでまた出会えるとは……」と、思いがけない再会に狂喜しました。ちなみに、その映画は……あの下ネタ満載のおバカ映画「オースティン・パワーズ」です。
早速チェックすると、この曲がジャズ時代のクインシー・ジョーンズの作品だということが分かりました。
クインシー・ジョーンズと言えば、僕は世代的に、1981年に大ヒットした「愛のコリーダ」がまず思い浮かびます。他には、マイケル・ジャクソンの「オフ・ザ・ウォール」「スリラー」「バッド」のプロデューサーだとか、「ウィー・アー・ザ・ワールド」のPVで指揮をしていた人……と、ポピュラー音楽の世界におけるイメージしかなかったので、元々はジャズ・ミュージシャンだった、というところからして、僕には驚きでした。
そして、この「ソウル・ボサノヴァ」をキッカケに、その長く偉大なキャリアを知った僕の中で、あらためてクインシー・ジョーンズに対する興味がムクムクと湧き上がってきたのでした。
またひとつ、歴史を辿る長い旅が始まってしまったのです……。
―3曲目―
管理職となって数年、仕事のあれやこれやで壊れてしまった僕を、このバンドが救ってくれました。聴いてください。
♪ サンボマスター「手紙 ~来たるべき音楽として~」
“Tegami” by Sambo Master
2006年に発表されたサンボマスター3枚目のアルバム「僕と君の全てをロックンロールと呼べ」からお送りしました。この曲は、サンボマスター7枚目のシングルですが、実はインディーズ時代から既に「名曲」として評判の曲だったそうです。
僕が初めてサンボマスターの音楽に触れたのは、筑紫哲也さんが司会を務めていた「News23」という夜のニュース番組に、サンボマスターがゲスト出演した時のことでした。それまで、サンボマスターという名前だけは知っていたのですが、どういう音楽をやっているのか、まったく知りませんでした。
当時の僕は、仕事で誰にも助けを求めることが出来ない状況に追い込まれていました。そして、ある日、肺に穴があき、心にも穴があき、空気と一緒にすべてのやる気が僕の中から抜けて、身も心も空っぽになってしまいました。
それ以来、何も感じなくなってしまった僕でしたが、「News23」でサンボマスターが演奏した「手紙」という曲を聴いたとき、何かが胸に突き刺さってきたのを感じたのです。久しぶりの感覚に驚きながら、僕は、サンボマスターというバンドのことをもっと知りたくなり、出たばかりのアルバム「僕と君の全てをロックンロールと呼べ」を手に入れました。
そして、会社に向かうクルマの中で、MD(懐かしい……)に録音したこのアルバムを聴いていたときのこと。
突然、空っぽだった僕の心が、何かに満たされていくのを感じたのです。同時に、すっかり気力を失っていた僕が、何かに衝き動かされるように、自分の意志で「もう一度歩き出してみよう」と思いはじめていました。
もし、このサンボマスターとの出会いが無かったら、今頃、僕はどうなっていたのだろう……。
そんなことを、ふと思う時があります。
―4曲目―
こんな風にサンボマスターに救われた僕でしたが、実は、この時期にもう一つ、とてつもなく大きな出会いがありました。40歳を前にして、ようやく僕はこのバンドに巡り合ったのです。聴いてください。
♪ ザ・ブルーハーツ「1001のバイオリン」
“1001 Violins” by The Blue Hearts
この曲は、1993年に発表されたブルーハーツ15枚目のシングル「1000のバイオリン」のカップリング曲で、「1000のバイオリン」のオーケストラ・ヴァージョンです。
今でも、この曲に出会った時の光景が目に浮かびます。
ある日、TVから流れてきたあるCMの曲が、僕の耳をとらえました。
「ミサイルほどの鉛筆ひとつ/楽しいことをたくさんしたい/ヒマラヤほどの消しゴムひとつ/…」という衝撃的な言葉が、優しいメロディに乗って、いきなり僕の中に入り込んできたのです。
「一体、この曲は何だ……!?」
その曲の正体は、ザ・ブルーハーツの「1001のバイオリン」という曲でした。
「えっ!?ブルーハーツって、こういう曲もあるんだ……」
衝撃を受けた僕は、「これは一度、ブルーハーツをちゃんと聴いてみないといけないな……」と思ったのです。
「1001のバイオリン」はオリジナル・アルバム未収録のため、まずは、この曲が収録されている「THE BLUE HEARTS Singles 1990-1993」という2枚組のシングル・コレクションを手に入れました。
アラフォーにして、ようやくブルーハーツと正面から向き合い、その魅力にすっかりやられてしまった僕は、次に、初期メルダック時代のアルバム3枚がセットになっている「THE BLUE HEARTS BOX」というCDを手に入れました。そして、その中の1枚、デビュー・アルバム「ザ・ブルーハーツ」に完全にとどめを刺されたのです。
デビューから20年、その時、既にバンドは存在していなかったけれど、僕とブルーハーツが出会うべきタイミングは、やはりあの時しかなかったのだと思います。
僕の中の「青い心」は、こうして目を覚ましたのでした。
―5曲目―
ブルーハーツの洗礼を受けた僕が次に向かったのは、やはりここでした。聴いてください。
♪ ザ・ハイロウズ「罪と罰」
“Tsumi To Batsu” by The High-Lows
1999年に発表されたザ・ハイロウズ4枚目のアルバム「バームクーヘン」からお送りしました。
ブルーハーツからの流れで、ハイロウズを聴き始めたのですが、その時すでにバンドは活動休止を発表していました。活動10年目の区切りとしてリリースしたベスト・アルバム「フラッシュ ベスト」は、彼らのラスト・アルバムとなり、同時にそれは、僕が初めて買ったハイロウズのアルバムとなりました。
その「フラッシュ ベスト」の中で、とりわけ異質な空気を撒き散らしていたのが、僕の大のお気に入りである究極のハード・ロック・ナンバー「罪と罰」でした。
もともとハイロウズについては、正式メンバーにキーボード奏者がいたり、ラジオで「相談天国」という曲を聴いたときに「これ、ディープ・パープルじゃん!」と思ったり、僕の中では「ハードロック」っぽいバンドという印象があったのですが、この荒々しく凶暴な音にすっかり参ってしまった僕は、もっとハイロウズのことを知りたくなり、欲望を抑えきれず、あっという間にアルバムを買い揃えてしまいました。
ハイロウズは、僕の予想をはるかに超えていて、僕の期待をいい意味で見事に裏切ってくれました。
何でもありのヴァラエティに富んだ曲調、いい意味で分かりやすくキャッチーなメロディ、タイトでパワフルな演奏、具体的な意味がどんどん削ぎ落とされていく歌詞……と、聴けば聴くほど、僕はハイロウズの底知れない魅力に引きずり込まれていきました。
―6曲目―
ブルーハーツも、ハイロウズも、僕が巡り合った時には既に活動していなかったので、どちらもリアルタイムで体験することが出来ませんでした。そんな悔しい思いを抱えていた僕の前に、期待の新人(?)バンドが現れました。聴いてください。
♪ ザ・クロマニヨンズ「タリホー」
“Tariho” by The Cro-Magnons
この曲は、2006年に発表されたザ・クロマニヨンズの記念すべきデビュー・シングルにして、いまだにライヴで演奏し続けている彼らの代表曲です。
それまでにも、色々な日本のバンドに出会ってきましたが、いつもキャリアの途中からの後追いだったので、「デビューしたときからずっと追いかけている」と胸を張って言えるのは、クロマニヨンズが初めてでした。そういう意味でも、僕にとって、クロマニヨンズというバンドは、かけがえのない特別な存在なのです。
クロマニヨンズがデビューして早20年、色々な出来事がありました。
・いきなり出鼻をくじかれ、「ザ・クロマニヨンズ出現ツアー!!」に行くことが出来ず、悔しがっていたら、何とシークレット・ライヴに当選。東京の某ライヴハウスに駆けつける。
・リズム&ドラム・マガジンのプレゼントでクロマニヨンズ(高橋ヨシオ)のビニール雨合羽当選。使ったらすぐに破れてしまいそうだったので、一度も使わず、大事な宝物として部屋に飾ることに。
・地元でのライヴ日程が平日の場合は参戦が難しく、週末・休日公演を探して、岡山や京都まで遠征。
・アキレス腱断裂にも負けず、松葉杖をつきながらライヴ(ライヴハウスでのオールスタンディング!)参戦。
・タワレコのインストア・ライヴに当選。前方に陣取るも、押し寄せる若者達に押しつぶされそうになり、あえなく後方に避難。
……と、夢のような楽しい事ばかり。挙げ出したらキリがありません。
これからも、いつまでも、どこまでも追いかけていきます。
クロマニヨンズ最高!!
―7曲目―
この人の笑顔と歌声はずるい!
どんなときも、その笑顔を見るだけで、その歌声を聴くだけで、たまらなく幸せな気持ちになります。
どうしてなのか、理由は分かりません。でも、そんな奇跡のような、無敵の笑顔と歌声を持ったこの人のことが、僕は大好きです。聴いてください。
♪ 東京スカパラダイスオーケストラ [feat. 甲本ヒロト]「星降る夜に」
“Hoshi Furu Yoru Ni” by Tokyo Ska Paradise Orchestra [feat. Hiroto Komoto]
この曲は、2006年に発表された東京スカパラダイスオーケストラ(以下、「スカパラ」)30枚目のシングルです。
そして、この曲を歌っているのは……またもや我らが甲本ヒロトさん(以下、「ヒロト」)です。
これでヒロト4連発ですが、いいんです。何の問題もありません。
この時期、スカパラは色々なヴォーカリストとのコラボ・シングルを発表。
その「歌モノ3部作」第一弾が、田島貴男さん、チバユウスケさん、奥田民生さんという、僕の大好きなヴォーカリスト3連発でした。僕は、これで完全にノックアウトされて、すっかりスカパラにはまってしまったのです。
そして続く「歌モノ3部作」第二弾が、永積タカシさん(ハナレグミ)、Charaさん、そして、トリを飾ったのが、ヒロトが歌うこの「星降る夜に」でした。
この曲を聴いていると、どうして、こんなにも優しく、切なく、泣きたくなるほど幸せな気持ちになるのか。
そして、PVでヒロトが見せる、あのいたずらっぽい天使のような笑顔は一体……またイチコロです。
―8曲目―
「さよなら」を決めていたのに、気が付けば、二度と離れられない人になっていました……。縁というのは不思議なものです。聴いてください。
♪ ボブ・ディラン「ジョーカーマン」
“Jokerman” by Bob Dylan
この曲は、1983年に発表されたボブ・ディラン22枚目のスタジオ・アルバム「インフィデル」の冒頭に収録されている曲ですが、今回はあえて、当時、実際に僕がこの曲を聴いた1997年リリースの「ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン」からお送りしました。
ロックの歴史を知りたくて、勉強のためにと思い、名盤と呼ばれるボブ・ディランのアルバムを買ってみました。ところが、その良さがさっぱり分からない。ベスト盤も聴いてみたけど、やっぱりピンと来ない……。
もうボブ・ディランには見切りを付けよう、と思っていた時、この「ジョーカーマン」と「イフ・ノット・フォー・ユー」の2曲が、突如、僕の中で輝きを放ち始め、切れかかっていたボブ・ディランと僕の縁を、すんでのところで繋ぎとめてくれたのでした。
この話の詳しい顛末は、本サイトの2024年5月24日(ボブ・ディラン83回目の誕生日)付コラム「ボブ・ディランは突然に」をご覧いただければ、と思います。
―9曲目―
この時期、かつてお気に入りだったこのバンドは、僕の中ですっかり過去のものとなっていました。
それが突然、とてつもなく力強い名曲を引っ提げて、再び僕の目の前にその姿を現したかと思うと、一瞬にして僕の心を鷲掴みにしてしまったのです。聴いてください。
♪ エレファントカシマシ「俺たちの明日」
“Ore-Tachi No Ashita” by Elephant Kashimashi
2008年に発表されたエレファントカシマシ(以下「エレカシ」)18枚目のアルバム「STARTING OVER」からお送りしました。
この曲は、前年にエレカシ34枚目のシングル、そしてレコード会社移籍後の第一弾シングルとして発表され、バンドの行く末を託された運命の1曲でした。
TV-CM(ハウス食品「ウコンの力」)とのタイアップ効果もあったとは思いますが、何より、曲そのものが圧倒的な力強さと魅力にあふれた素晴らしいものでした。そして、この曲は、エレカシにとって久しぶりの大ヒットとなり、バンドは何度目かの大きな転機を迎えました。
同世代ということもあり、この歌は、僕の心に真っすぐ突き刺さってきました。
そして、かけがえのない時期を共に過ごした友人達の顔を思い出しては、明日もまた頑張ろうと、へこたれそうな気持ちを奮い立たせてくれた、忘れられない1曲となりました。
―10曲目―
少し前から、このバンドの存在は知っていたのですが、最初は、その暑苦しい感じがちょっと苦手でした。それが、この曲に出会ったお陰で、このバンドを見る目が変わり、すっかりお気に入りのバンドになってしまいました。聴いてください。
♪ 怒髪天「ニッポン♥ファイターズ」
“Nippon ♥ Fighters” by Do-Hatsu-Ten
この曲は、2011年3月11日の東日本大震災後、怒髪天が力強い決意表明の歌として発表したチャリティ・シングルです。
当時、僕は何かのTV番組で、この曲をライヴで歌う怒髪天の姿を観て、曲の素晴らしさに加え、怒髪天というバンドの魅力にすっかりやられてしまいました。
「オレがやらなきゃ誰がやる」と自らを鼓舞する力強い言葉は、当時、僕自身が置かれていた状況や気持ちと重なるところがあり、僕の心を震わせました。
そして、この言葉が、再び立ち上がろうとしていた僕を支えてくれたのです。
* * *
こうして振り返ってみると、この時期、僕は本当に音楽に支えられていたんだな、とつくづく思いました。
-今回も最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう。See Ya!
ー第29回「会社員時代 – 第4期」プレイリストー
| No. | 曲名 Song Title | アーティスト Artist |
|---|---|---|
| 1 | ビュンビュン Byun-Byun | 外道 Gedo |
| 2 | ソウル・ボサノヴァ Soul Bossa Nova | クインシー・ジョーンズ Quincy Jones |
| 3 | 手紙 ~来たるべき音楽として~ Tegami | サンボマスター Sambo Master |
| 4 | 1001のバイオリン 1001 Violins | ザ・ブルーハーツ The Blue Hearts |
| 5 | 罪と罰 Tsumi To Batsu | ザ・ハイロウズ The High-Lows |
| 6 | タリホー Tariho | ザ・クロマニヨンズ The Cro-Magnons |
| 7 | 星降る夜に Hoshi Furu Yoru Ni | 東京スカパラダイスオーケストラ [feat. 甲本ヒロト] Tokyo Ska Paradise Orchestra [feat. Hiroto Komoto] |
| 8 | ジョーカーマン Jokerman | ボブ・ディラン Bob Dylan |
| 9 | 俺たちの明日 Ore-Tachi No Ashita | エレファントカシマシ Elephant Kashimashi |
| 10 | ニッポン♥ファイターズ Nippon ♥ Fighters | 怒髪天 Do-Hatsu-Ten |
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